1 Finance and the Finance Manager

Principles of Corporate Finance

Principles of Corporate Finance

MBA の Finance の授業における、定番教科書らしき、"Principles of Corporate Finance, 9th Edition" を入手。邦訳もあるのだが、アマゾンの書評によると翻訳がいまひとつとのことだったので、原書を購入。安いオンライン書店から入手しても7000円以上したけど、手にしてみると、表紙は爽やか、本文も3色刷りでよい感じ。紙も Wiley CPA Review よりずっと上質で、やる気が出てくる。(Wiley CPA Review は内容はいいのに、あのトイレットペーパーみたいな紙質はなんとかならんものかw)

USCPA 試験の結果を待つ間、これから、この本の勉強の成果をこのブログでまとめていこうと思う。

今日は Chapter 1. Finance and the Finance Manager を読んだ。

英語は、平易で前提知識がなくても読めるように工夫されている。読んでいくうちにグイグイと引き込まれる感じ。CPA Review が退屈で骨が折れたのと対照的。やはり読者に「理解させること」を主眼に置く大学院の教科書はいいなあ。

感想文的にダラダラ書いていこうと思う。

第1章は、USCPA を受けたような人間にとっては大体当たり前のことしか書いてない(例示が多く、内容は面白いけど)。ちょっと面白かったのは、AUDの内部統制のところで出てきたけど今ひとつぴんと来なかった Treasurer (財務部長)と Controller (経理部長)の定義が分かりやすかったこと。

The treasurer is responsible for looking after the firm's cash, raising new capital, and maintaining relationships with banks, stockholders, and other investors who hold the firm's securities.

The controller prepares the financial statements, manages the firm's internal accounting, and looks after its tax obligations.

という感じで一目瞭然。日本企業の場合にも同様の役割分担があるのだろうか?良く分からない。

この本の特徴は、「エージェンシー問題」や「情報の非対称性」といった情報の経済学のアイディアに正面から取り組んでいること。株式会社では、所有(株主)と経営(経営者)が分離することが最大の特徴の一つなのだが、これは株主と経営者で利害が一致しない局面がたびたび登場する。経営情報を圧倒的に多く握っているのは、エージェントたる経営者なので、私腹を肥やすために使われる可能性がある。

この本では、エージェンシー問題の結果、経営者がお手盛りの報酬を得て、豪勢な暮らしをするというのが一つの例に挙げられているが、いかにも米国らしい。一見、生活は質素に見える日本の経営者たちにも、実は同様なエージェンシー問題が存在し、むしろ日本のほうが深刻な気がする。日本の場合は、経営者が自分に不相応に多額の報酬を払うという形ではなく、ROE を軽視して経営をサボるという形で現れる。遊んで収入を得てるんだから、金額は米国より少なくとも不相応な報酬には違いない。なんで日本の株主は、低収益を平然と甘受する経営者に鉄拳を食らわせないのか不思議で仕方ない。

・・・と勉強とは関係ない話に逸れてしまったが、この本なかなか期待が持てそうである。鋭意勉強をつづけて行きたい。