不動産の先取特権・土地の抵当権・根抵当権

合格道場の記述式対策を勉強して感じた点をいくつかメモ。

不動産の先取特権

不動産に関わる債権者の先取特権の優先順位は次のように決定されるようですね。
(民法第325条・民法第329条2項・民法第331条)

  1. 不動産の保存
  2. 不動産の工事
  3. 不動産の売買
  4. 一般の先取特権

まず押さえておくべきは、一般の先取特権より特別の先取特権(この場合不動産の先取特権)のほうが強いということ。
そして、不動産の先取特権でも、保存、工事、そして売買の順に強いということですね。

不動産の保存というのは、不動産の価値を維持するための費用でしょう。たとえば洪水で水浸しになってしまった土地を復旧するとかでしょうか。

不動産の工事というのは、たとえば家を建てる費用のことでしょう。

不動産の売買というのは、不動産を売った代金のことでしょうね。

こういう費用・代金をまだ回収していない債権者がもつ権利がこれらの不動産の先取特権ということでしょう。

参考:
不動産工事の先取り特権と不動産保存の先取り特権って、具体的にどういう権利なん...|不動産ブログ

土地の抵当権

土地に抵当権がついていた場合、その効力が及ぶ範囲は、どこまででしょうか。
民法370条・371条によると、

土地の抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、土地に付加して一体となっている物に及ぶ。さらに担保債権の不履行後は、この土地の果実に及ぶ。

ということで、あくまでも建物には土地の抵当権は及ばないってことですね。当たり前かもしれないけど、知らなかった…。

根抵当権

民法第398条の19によれば、
根抵当権設定者は、設定の時から三年経過したときは、担保すべき元本の確定の請求ができ、請求の時から二週間経過することで確定する」
ということなんですけど、そもそも「元本の確定」ってなんでしょうか?

根抵当権と抵当権の最大の違いは、担保債権が、特定されているかどうかですよね。
抵当権は必ずある特定の債権を担保するために設定されます。
これに対して根抵当権は、継続的な取引で発生する売掛金とか、そういう「発生することは分かっているけど、事前にはどれとは言えない」ような種類の債権を担保します。で、「元本の確定」とは、「具体的にこれとこれの債権(たとえば売掛金)を担保します」と根抵当権根抵当権設定者の間で同意することですよね。元本が確定してしまえば、特定の債権を担保することになるわけで、以後、普通の抵当権と変わらないことになります。

あとがき

というわけで、記述式の民法が(とりあえず)終わりました。次は行政法に取りかかります。